2009年09月14日

内需主導経済へ(6)〜モノづくりを支える町工場を守れるのか

このことが、私の最大の関心事である。内需主導を声高に叫べども、いかにして地方の町工場を守っていくのか。その道すじが分からなければ、地方で共産党の支持を広げることは難しい。

ここにヒントらしきものを見た。


【吉田三千雄・桜美林大教授】
 高度な加工技術を持つ、ごく少数の企業は試作や開発で生き抜けるとして、問題は、それ以外のところはどうするのか。神奈川県相模原市(電機・自動車)、長野県の諏訪(精密機械)や北関東(自動車)などにも下請けの中小工場はあるのですが、そういうところはどういう指針と存立要因で生きていけるのかという問題が残ります。


 これに対して、前出の吉田敬一氏が次のように答えていることに、我ながらハッとした。「なるほどな」と思わず頷いてしまった。

【吉田敬一・駒澤大教授】
 私はわりと楽観的です。富士山のてっぺんだけは残せないわけで、必ず裾野が必要なわけです。東京の大田区や東大阪は、必ず地域の中でネットワークを組んで部品を作ったり、新製品をつくったりしている。

 要するに全部が全部、高度な加工技術を必要としているわけではない。どんな最先端の製品でも、基盤技術としての切削(せっさく)やメッキ・プレスというような要素的な加工の仕事もある。

 だから僕は、地域の中核企業のレベルアップを積極的に進めていけば、必ずそこの仕事の幅が広がって、普通の仕事も地域に降ろしてきてくれると思っています。

 そのためには、自律型の多様な中小企業を地域の中で輩出していくことがカギだと思っています。この点では、自治体の産業政策の役割は重要です。

 ここまで読んだとき、昨日のしんぶん赤旗の書籍欄で紹介されていた、岡田 知弘・京都大学大学院経済学研究科教授(自治体問題研究所理事長)の『一人ひとりが輝く地域再生』のことが、頭をよぎった。その紹介文で紹介されていた言葉に、「全国あちこちの豊富な事例」というのがあったからだ。

抜書きや紹介は、ここまでにしておこう。今はまだ、座談会の内容を抜書きしてきただけであるが、各氏の論文が、この後、続いている。読まなきゃ。

少しずつ、視野が広がってきたような気がする。この雑誌、やはり、買って良かった。

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2009年09月13日

内需主導経済へ(5)〜外需依存構造からの転換をどうするか

私が今一番気に懸けていること、これの解決のための参考にと思って何10年ぶりかで買い求めた雑誌、「経済」。いよいよ私の問いかけに答えてくれる箇所にきた。

このエントリーでは、抜書きではなく、そのままを書いておきたい。心の底からフツフツと湧き上がり唇から漏れ出ずる言葉に、惜しみなく拍手を送りたい。


【吉田敬一(駒大教授)】
 問題は内需の中身であり、その担い手が誰かということです。安定した仕事が確保できて、安心して暮らせる仕組みができて、国民が生活を楽しめるようになって消費が拡大し、地域の産業も活性化するという姿が、私の考える内需主導型の経済です。

 「内需振興」と言ってもゼネコン中心だったり、あるいはユニクロ型(中国で生産)ではダメなんです。内需の担い手は、国民生活に雇用と所得を保障しなければいけません。

 先進国に中でモノづくりを中心にしている国の代表はドイツ、イタリア、日本ですが、自営業の数が激減してきているのは日本だけです。

 こういう商店街や町工場や大工などの自営業者をつぶしていくような「内需振興」では、国民経済の安定的な発展、より自律型の発展にはなっていかないのです。


【吉田敬一(駒大教授)】
 いつまでも自動車だけに頼る産業構造や下請け構造を転換しないと、競争力が強い⇒貿易収支黒字になる⇒円高になる⇒賃下げ・工賃の値下げになるという「地獄のサイクル」から抜け出せません。

 とくに大事なことは公正な取引ルールの確立です。」21世紀に入ったときに問題になった金型問題が象徴的です。技能・熟練が必要な一番金型を日本で作らせて、金型とともに図面やノウハウをフロッピーなどで提出させ、製造した中小企業には無断で二番金型、三番金型を中国で作らせていた。

 そんなことをやる大企業がいて、果たしてCSR(企業の社会的責任)を掲げることが恥ずかしくないのかと思いました。先進国で下請け代金支払い遅延等防止法みたいな法律がある国は日本くらいですが、裏返せば、どれだけ無法なことをしているかという証拠でもあります。

 このまま大企業のグローバル展開でやりたい放題やられていると、つぶれる必要も無い、高い技術を持っている下請けも存続できないような状況になっていくと思います。

(続く)

posted by flyhigh28 at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 内需主導経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内需主導経済へ(4)〜「いざなぎ越え」の中で、なぜ内需拡大に火がつかなかったか

・1つは、内需の6割を占める個人消費が停滞したという問題。
 その原因は、賃金所得が減少したことによるが、非正規雇用の拡大でワーキングプアが大問題になり、貧困と格差の拡大が大きな問題になったことに現れている。
 加えて、高度成長期に形成された労働者の生活保障システムが崩れてきたことが大きい。年功賃金や終身雇用という安定システムが壊れたこと、企業の福利厚生負担が削られたことは、もともと未成熟な日本の社会保障制度の後退とともに、生活の安心・安定を損ない、個人消費を冷え込ましてきた。
 また、地価の下落で資産価値が低下して債務負担が増大したので、個人消費が低下したことも原因。

・2つは、内需の約2割を占める民間設備投資がふるわなかたこと。
 業種別設備投資と売上高輸出比率の関係を見ると、90年代前半までと95年以後の流れはぜんぜん違う。
 95年以後は明らかに輸出比率の高い企業が設備投資も高Kなるという相関関係が形成されている。民間設備投資までが輸出比率に左右されるようになってきたという変化。
 80年代、90年代までは国内需要がある程度ある中での「外需依存」だったのが、今は国内需要がなくなってくる中での外需依存ということ。

・3つは、その上で、この間進めた規制緩和、「構造改革」政策が内需を縮小させる方向に動いたということ。
 規制緩和推進論者は、規制緩和を行うと新規参入が増え、競争も激化して生産性が高まり、物価が下がり、国民生活も良くなるはずだと主張したが、しかし現実には一部大企業は空前の利益を上げ続けたけれど、多くの国内企業は経営が困難になり、労働者の賃金は低下して、結局、内需の基礎になるものが失われていった。
 だから、物価が下落しても消費性向は高まらなかった。結局、「規制緩和⇒競争激化⇒物価下落⇒企業収益・雇用者所得の減少」という循環が働き、「構造改革」は国内の消費基盤を狭隘にした


posted by flyhigh28 at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 内需主導経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内需主導経済へ(3)

・外需依存の構造は内需を脆弱にする。アメリカへの輸出を中心とする経済成長は、70年代から対米貿易摩擦を招来し、アメリカからは為替調整と「構造調整」を迫られた。日本の農林水産業や地場産業、小売業、流通業などの市場開放が強く求められ、円高についていけない「競争力の弱い」産業、たとえば農林漁業などの内需型の産業が切り捨てられていくことに。
・また、輸出主導の経済成長は国際競争力の維持を前提とするから、生産コストを低下させることを至上命題とする。
・下請企業に対する取引条件や賃金などの労働条件の引き下げ圧力が働き、消費基盤は狭隘になる。
・その結果、国内で生産された生産物は国内では吸収されず、海外に向かわざるを得なくなる。
・こうして外需依存と狭隘な内需という構造は相互に連関して、今日の事態にまで立ち至った


posted by flyhigh28 at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 内需主導経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内需主導経済へ(2)

・60年代までの高度成長期は内需が主導
・産業連関表で需要先、販路を見ていくと自動車に全部集中していく。80年代から90年代前半の頃と比べると、2000年代は明らかに自動車に集中していく産業構造になっている。工作機械も鉄鋼も基本的には自動車向けに行く。だから、産業構造が自動車一極になっていることのゆがみが大きい。
・日本の場合、GDPに占める輸出の割合(輸出依存度)は、2006年で14.9%、輸入依存度は13.3%。ドイツは輸出依存度が38.9%、輸入依存度は31.7%だから、日本は本当に外需依存なのかという見方も出てくるが、日本の場合、輸出は業種的に限定され、上位数十社が輸出の大半を占める。特定の業種と特定の企業に依存して、特定の国に販売され、そこで稼ぐ外貨がものすごく大きいという、特殊な形態での外需依存の成長構造。
・ドイツなどは、あらゆる産業が輸出比率も高いけれども輸入比率も高い、いわばEUの中での循環ができている国と、日本のように一方的に輸出している国を比較して、貿易依存度が低いといっても質が違う。
・日本の金属・機械部門の7部門を合計すると、90年には日本の全輸出の81.7%、07年でも76.6%を占めている。



posted by flyhigh28 at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 内需主導経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内需主導経済へ(1)

いま、雑誌「経済」10月号を読み始めたところだが、買って良かった雑誌だ。内需主導型経済へとは、よく言われるが、なにか分かったような分からないような話だった。

しかし、この雑誌の内容は違っていた。すごく考えさせられる。刺激的だ。しばらく、思いつくままに抜書きしていこうと思う。
まずは、座談会部分からだ。

・戦後の日本経済は、重化学工業部門とりわけ金属・機械部門が主導してきた。
・戦後の日本経済は「重化学工業段階」。成立の時点からの特徴は、
第一にアメリカへの依存。対米依存体制のもとで戦後の経済復興と重化学工業の確立が可能になった。
第二に国内需要をはるかに超える生産能力の処理を恒常的に必然づけられる性格のものだったし、同時に金属・機械部門の一挙的確立が急速な発展の要因となった。
・自動車産業とアメリカ市場に特化したモノカルチャー型経済
 ⇒80年代は、自動車、電機というふたつの柱があって、アメリカ市場への輸出という成長構造があったが、90年代以降とりわけ2000年前後から電機の輸出競争力が急速になくなってきた。
・テレビ、DVD、デジカメ、液晶テレビ、パソコンなど電気製品の部分は完全に国外生産に移った
・自動車の場合は一台3万点といわれる多くの部品を抱えているので設計と製造は切り離せないが、電機の場合は企画・開発と設計と製造の過程を分離してもできる。企画だけあって設計も製造も外部委託できるというふうに完全に生産工程が分離可能になり、海外に移せる構造になったことが、電機の競争力がなくなってきた基本的な原因。
・そうなってくると、日本的なモノづくりの強みを持つのは自動車のみということで、電機産業も自動車の電子化に依拠するようになる。⇒日立が典型、自動車部品に力を入れるようになる
・いろいろな産業が競争力の強い自動車をたよってシフトしていく構造が2000年代にできてきた。だから、いったんアメリカで自動車販売が急減してしまうと、日本の自動車は電機も含めて急速に企業収益が悪化した

(続く)








posted by flyhigh28 at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 内需主導経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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