「国際競争力」を売り上げとするなら(おそらく、それで良いのだろうが)、たとえば家電は韓国サムスンが世界シェアでトップである。パナソニックでもソニーでもない。日立や東芝でもない。自動車ではついこの前まではトヨタがトップであったが、今は見るも無残な凋落振り。 上がったのは、トヨタなどの国際展開している大企業の内部留保であったり株主への配当であって、売上げではない。さらに、それら大企業で働く従業員をはじめとした日本の労働者の
賃金は下がりこそすれ、上がっては来なかった。
法人税減税で売上げは上がったとは言えない。つまり国際競争力が高まったとは言えない。それもそのはずだ。法人税というのは、こういう計算式で算出されることを再確認しておきたい。
売上高−売上原価=売上総利益(総損失)・・・A
A−販売管理費(人件費・物件費)=営業利益(損失)・・・B
B+営業外収益(受取利益など)−営業外費用(支払利息など)
=経常利益(経常損失)・・・C
C+特別利益(固定資産売却益など)−特別損失(災害損失など)
=税引前当期純利益(純損失)・・・D
D−法人税等+法人税等調整額=当期純利益(純損失)
これを見れば一目瞭然のように、法人税を下げたところで、売上げが上がるわけではない。
法人税を下げたら上がるのは、当期純利益だ。人件費だって上がるわけではない。この当期純利益の中から、様々な名称(△△引当金など)の内部留保や株主配当が支払われ、残余は次期繰越金とされる(実際にはもう少し操作が行われるが)。
もう一度言う。こんな状況を見ると、「国際競争力を高める」という目的のために、この間、自民党政権が一貫してやってきた”法人税を下げる”という政策が、ほんとうに効果があったとは到底言えない。
売上げが上がる=「国際競争力が高まる」ことで国民が豊かになるのであれば、この「国際競争力を高めるために法人税を引き下げる」という論理も説得力はあるかもしれない。しかし、現実には、国民は豊かになどなってはいない。中小零細企業は今でも赤字だ。赤字だと法人税は払う必要がない。所得がない個人は所得税や住民税がゼロというのと同じで、それは、法人税減税の恩恵は受けられないということだ。
たとえば、こんな指摘がある。 「この5年間の実質GDPは505兆円から561兆円へ額にして56兆円、率にして11.1%増加した。だが、実質家計消費は291兆円から310兆円へ額にして19兆円、率にして6.5%しか拡大しなかった。なぜなら、就業者数はたった82万人、1.3%しか増加しなかった。実質雇用者報酬の伸びも 2.6%に止まった。そして、民間勤労者が受け取る現金給与の実質総額にいたっては、1%以上低下したからだ。これで、消費が伸びるわけがない。」(
DIAMOND ONLINE 「成長戦略はなぜ、人々の幸福に結びつかないのか〜斉藤誠・一橋大学大学院教授に聞く」 )
こんな役にも立たない、旧態依然としたやり方を、菅・民主党内閣はやるというのだ。まったくもってばかばかしい。
にもかかわらず。未だに「国際競争力のため必要」という論者が後を絶たない。
だが、共産党が何度も言うように、「法人実効税率を財界方針通り25%に下げたら、税収に9兆円もの穴が開き、消費税5%増税で生まれる11兆円の財源のほとんどは法人税減税の財源になってしまう」。
こんなでたらめは許してはならない。なんとしても、共産党の議席を増やさないとダメだ。
posted by flyhigh28 at 22:05|
Comment(0)
|
TrackBack(2)
|
政局
|

|